シュー・ハット伝説 #006

「ショッキング・ピンク」という色があります。

この上なくヴィヴィッドなピンクのことを、ショッキング・ピンクと呼ぶわけです。

このショッキング・ピンクの発明者が、エルザ・スキャパレリなのです。
スキャパレリは1890年、イタリア、ローマ、パラッツォ・コルシーニに生まれています。

エルザ・スキャパレリは若くしてロンドンに出て、ある裕福な貴族と結婚しています。
その後、各地を巡って、1924年にはパリに着く。
スキャパレリはパリで、ポール・ポワレに出会って、モードに目覚めたんだそうです。
それからのスキャパレリは、マギー・ルフの店で働いたこともあったという。

エルザ・スキャパレリが自分の店を開くのは、1928年のこと。
「スキャパレリ・プール・ル・スポール」。
それが店の名前だったのです。

「スポーツ用」とは言うものの、デザイン自体はアヴァアンギャルドそのものでありました。

女性のドレスにトロンプルイユ ( 騙し絵 ) をとりいれたのも、ジッパー使ったのも、スキャパレリだったのです。
1936年には、「グラス・ケープ」。
これはプラスチックを使っての透明のコートでありました。

エルザ・スキャパレリは交友関係も多彩で、たとえばジャン・コクトーや、サルヴァドール・ダリとか。

ダリのアイデアを実現したものに、「シュー・ハット」があります。
1937年頃のこと。

シュー・ハットは女性のハイ・ヒール、パンプスを大きくして帽子にしたもの。
直訳すれば、「靴帽子」でしょうか。
本来、足を入れるところに、頭を入れるわけですから、「靴帽子」。
頭の後ろではヒールがまるで角であるかのようにそびえ立つスタイルの帽子だったのです。

シュー・ハットはさておき、1930年代のパリに、エルザ・スキャパレリというアヴァアンギャルド・デザイナーがいたことは、忘れてはなりませんね。