カノティエの伝説 #009

『カノティエ』は、カンカン帽のこと。

ボーターもまた、カンカン帽。

つまりカノティエとボーターは、同じものなのです。

「カノティエ」canotier はフランスふう。
「ボーター」はイギリスふう。
少なくともカノティエが女性用で、ボーターが男性用と決められているわけではありません。

昔、季節に関係なくそれをかぶって、流行らせた人に、シャンソン歌手のモーリス・シュヴァリエがいます。
シュヴァリエはフランス人ですからあれはれっきとした「カノティエ」だったことになります。

勝手な想像ですが、カノティエもボーターも、その原型はイタリアにあるのでは。

イタリア、ヴェニスのゴンドラ漕ぎは、中世の昔から、カノティエを大きくしたような帽子を被っています。

もっとも麦は世界中にあったでしょうから、麦藁の再利用としての帽子は、自然発生的でもあったでしょうが。

ただ、カチンカチンに固める方式は、イギリスにはじまっているようです。
なんでも十九世紀後半に、イートン校から生まれたのだと。

ボーター boater ですから、舟を漕ぐ時に被る。

ところが風に飛ばされることもある。
帽子を取りに戻るとすでに川の中に。
これをなんとかしたい、というので固めた。

麦藁のままだと沈むのが、速い。
でも、固めておくと、しばらくの間は浮いていてくれる。

つまり回収するに便利だったからだそうです。