オーガンジー・ハットの物語 #008

オーガンジーという生地があります。

たいていは女性用のエレガントなドレスが仕立てられたりする生地です。
薄くて、張りがあって。
透けるようで、透けないようで、なかなか魅力的な素材であります。

オーガンジー  orgahdie は、フランス語の「オルガンディ」 organdi からきたものとも言われているそうです。
生地としてのオーガンジーは1880年代にすでにあったといいます。

ただし服の素材ではなかった。本の素材だった。

本を造る時、背表紙の裏に、補強布を張る。
このための補強布に使ったのが、オーガンジー。
つまり一冊の本として完成されたなら、オーガンジーは見えない。
縁の下の力持ちだったわけです。

ところが十九世紀末になって、オーガンジーがドレストリミング用として使われるようになる。
そして二十世紀に入ってからはだんだんと、縁取りばかりかドレス全体にも使われることになったんだそうです。

オーガンジーは薄くて、張りがある。
ということは自立する生地でもあります。

オーガンジーをハンカチくらいの大きさに切って、その下を手で持つと、直立する。
こんな生地はそうそうありません、同じシルクでもジョーゼットなどはたぶん直立はしないでしょう。

ハンカチの大きさが良いかどうかはさておき、
10㎝角くらいのオーガンジーをたくさん集めて直立させる。
と、なんだか雲が湧いているような、幻想的な帽子になるのではないか。

霧の中の帽子。

夢幻の帽子。

夢幻の帽子にはオーガンジーが欠かせないように思うのですが……。