世界最強帽伝説 #012

「世界最強帽」は、ほんとうにあるんでしょうか。

もっとも何をもって「最強」と考えるのかによっても違ってくるのでしょうが。

しかしひとつの候補として、「サウウエスター」 sou’wester を挙げることはできるでしょう。

サウウエスターは、時に「時化帽」と訳されることがあります。
暴雨風の時に被る帽子だから。

サウウエスターはごく簡単に言って、黄色いビニールで作られる帽子。
もう少し正確に言いますと、「スリッカー・ハット」。
スリッカー  slicker はもともとオイル・スキンの防水コートのこと。
多くイエローで仕立てられたものです。
このイエロー・スリッカーの素材で作られたので、「スリッカー・ハット」の名前があるわけです。

「サウウエスター」はアメリカで生まれ、アメリカで育まれてきた帽子でもあります。

もともとは「サウス・ウエスター」で、船員用語。南西からの風は時に暴雨風となるからです。
つまり、船員が船上で、嵐の中で立ち働く時の帽子だったのでしょう。
それがいつの間にか、サウス・ウエスターが、「サウウエスター」になったものと思われます。

サウウエスターの特徴は、ブリムの後が、前よりはるかに幅広になっていることです。
嵐の中で傘がさせるはずもなく、首元から雨が入らないための工夫なのです。
さらには暴風で飛ばされないように、しっかりとした顎紐が付いています。

アメリカ英語としての「サウス・ウエスター」は、1838年頃から使われています。
必要は発明の母、ということなのでしょう。

もし「サウウエスター」が世界最強帽であるなら、もっと大切にしたいものです。