ビーフィーターの物語 #014

「ビーフィーター」 Beefeater を説明するのに、言葉は要りません。

ジンの一本があれば良い。

「ビーフィーター」という銘柄のジンがあります。
あの壜の表に描かれているのが、ずばりビーフィーターの姿なのです。

「ビーフィーター」は、イギリス、ジェイムズ・バロー社のジン。
アメリカでもっとも人気あるジンだとも言われています。

ビーフィーターは、ロンドン塔の衛士のこと。
ただし「ビーフィーター」は俗称。
正式には、「ヨーマン・ウォーダー」または「ヨーマン・オブ・ザ・ガード」。

あのビーフイーターになるには最低20年の英国軍での軍歴がなくてはなりません。
割合、平均年齢が高いのはそのためです。

そして「ビーフィーター」の言葉のはじまりは、なぞ。

その昔、国王の「お毒見係」だったとも。
「ビーフィーター」の語源を探るだけで一冊の本ができるでしょう。

俗称ビーフィーターは、1485年に、ヘンリー六世の命によってはじまったもの。
つまりあのビーフィーターの制服は、十六世紀のままということになります。

ということは「ビーフィーター・ハット」もまた、十六世紀の帽子なのでしょう。

ざっと五百年もの間、変わっていない帽子は魅力的です。

よく見ると、クラウンの形が少し「逆台形」になっています。
ホンブルグに似ていなくもありませんが、ホンブルグよりもさらに威厳がありそうで。

「ビーフィーター」という名前の帽子があったら、さぞかし愉しいことでしょう。