パーリー・キャップの物語 #015

1937年のロンドンで公演されたミュージカルに、
『ミー・アンド・マイ・ガール』があります。

作曲は、ノエル・ゲイ。
『マイ・フェア・レディ』の男性版といった内容になっています。

このミュージカルの中に、「パーリー・キング」が出てくるのです。

パーリー・キングは上から下までを、貝ボタンで埋めつくした服装の人のこと。
もちろん男性だけでなく、女性もあって、「パーリー・クイーン」と呼ばれます。

一種の奇装でもありますが、ロンドンだけのこと。
ロンドン以外では見ることができません。

パーリー・キングのはじまりは、英国のヴィクトリア時代だと考えられています。

彼らはロンドン下町の立ち売り人だったのです。
日本にも似たような商売はあったでしょう。

「さあさあ、いらっしゃい……」と呼び込んで、魚や野菜を売るわけです。

このロンドンの立ち売り人がグループを作って、服にパール・ボタンを飾るようになった。
その多くは日本からの輸入品だったと言われています。

服にパール・ボタンを飾る。

それがだんだんと多くなって、時には3000個の貝ボタンを。
服よりはるかにボタンのほうが重い。
また、単に貝ボタンを付けるだけでなく、それが花や鳥のかたちになっていることもあります。

なにかのパーティの会場にパーリー・キングやパーリー・クイーンが募金箱を持ってやってくると、人々はそこに寄付をする習慣にもなっています。

パーリー・キングはたいていマリン・キャップに似た帽子を被っています。
当然、この帽子にもパール・ボタンを一面に飾っているのです。

これは「パーリー・キャップ」とも呼べるのではないでしょうか。

貝ボタン満艦飾のキャップは愉しい帽子になってくれることでしょう。