ヒュッテ・ハットの物語 #054

理想の住まいは、どんな形をしているのでしょうか。

これはもう人の好みによって、様ざまでしょう。
まさに十人十色。
いや、千差万別。千人いれば千の住まいがあり、万の人がいれば万の家があるのでしょう。

私の理想は、山小屋。
標高千メートルくらいの場所に、ポツンと小さな山小屋があったらなあ、と思います。

人が住むには、まず水が必要。
近くに湧水があるといいのですが。
水といえば、小さな小川も欲しい。
小川の側に水車小屋を建てて、水力発電ができるといいのですが。

標高千メートルなら、夏でも涼しく。
冷房も要りません。
冬は、薪ストーヴで、暖房。
薪ストーヴがあれば、これで湧水を沸かして、珈琲を淹れることも。
また、シチュウを作ることだって。

もし猪が出てきたら、これを退治して、生ハムを作りましょう。
塩をまぶして、洞窟に吊しておきましょう。

帽子の夢ならぬ、「小屋の夢」になってしまいましたが、これは辻 邦生の『雪崩のくる日』を読んだからなんです。

『雪崩のくる日』には、「初山」という男が描かれていて、ヒュッテで暮らしているのです。
その初山のヒュッテを主人公が尋ねる場面があります。初山は、何を着ているのか。

「初山は緑の革のチロルハットをぬいで壁にかけ、古びたヤッケを脱いだ。」

「緑の革のチロルハット」、いいですねえ。

さあ、グリーンのレザーのチロル帽を作りましょう。
スゥエードのいいかも知れませんね。

名前はもちろん、「ヒュッテ・ハット」にいたしましょう。