パナッシェの伝説 #064

「パナッシェ」という飲み物があります。

「ドゥミ・パナッシェ」とも言うんだそうですが。

パナッシェは夏のパリの風物詩といえるのかも知れませんね。
パナッシェは、夏にふさわしい飲み物。
カフェなんかに行くと、可愛いお嬢さんが、「アン・パナッシェ・シルブプレ!」なんて言ってるのを、耳にすることがあります。

パナッシェは、ビールとレモネードを半々に割った飲み物。
爽やかで、口当りの良い飲み物。
清涼飲料水代りにも飲めるもの。
アルコール度が低くなるので、酔うまでのこともありませんし。
ここでの「パナッシェ」は、たぶん「混ぜる」の意味から発展した言葉なのでしょう。

これとは別にもうひとつの「パナッシェ」 panache があります。

こちらの「パナッシェ」は、どうもラテン語の「ピンナ」 pinna からきているみたいです。
「羽根」の意味。
ですから今の「パナッシェ」には、「羽根飾り」を指す言葉になっています。

「羽根飾り」とはいっても、パナッシェは一本や二本ではなくて、何本もの羽根を美しく束ねたアクセサリーのこと。
十九世紀までは、兜の前の装飾品でもあったのです。
今は兜はあまり見ませんから、帽子に飾る羽根飾りを、「パナッシェ」の名前で呼びます。

マルセル・プルーストの名作『失われた時を求めて』の中にも、ひとつの形容としてのパナッシェが出てきます。

「はるかに軽く青白く震えて、羽根飾りのように垂れさがる先端だけかと思われる。」

これは噴水の様子なんですが。
原文では、「パナッシェ」の言葉が使われています。

なにか大きなパナッシェが似合いそうな帽子を被ってみたいものです。