タイ・バンドの伝説 #065

少しネクタイの話をしてみましょう。

「頸に結ぶ帯」だから、ネクタイと呼ばれわけです。
今のような細長い「ネクタイ」が流行になるには、二十世紀に入ってからのこと。

それ以前の洒落者はみんな「クラヴァット」を頸に巻いたものです。

クラヴァットは現在のスカーフによく似ています。
そのスカーフ状の「ネクタイ」を、まるで包帯でもあるかのように、結んだのです。

その結び方にはいく通りもあって、結ぶのにそうとう時間がかかった。
そのクラヴァットをうんと略式にしたのが、今のネクタイなのです。

ですから厳密には、「フォア・イン・ハンド」と呼ばれる結び方であります。
これは昔の「フォア・イン・ハンド・クラブ」から来たもの。

「フォア・イン・ハンド・クラブ」は、若い、英國貴族の集まり。
馬車をまるでスポーツ・カーのように走らせたところからの名前なんですね。
彼らが馬の手綱をさばきやすいように考えた結び方でありました。
それで、今なお「フォア・イン・ハンド」と呼ぶわけです。

ネクタイにももちろん流行があります。
仮に流行を無視するとしても、やはり古くなってしまうものです。
この古くなったネクタイを、再利用する方法があります。

一度解いて帯にして、それをハット・バンドに。

ネクタイを長く使っているうちに、どうしても色褪せたりするもの。
しかし、裏側はまったく変色していません。立派に使えます。

ネクタイはたいていしっかりした絹地ですから、ハット・バンドにも最適です。

たったそれだけで、自分だけのオリジナル・ハットに変身してくれるわけです。