ニコラス・キャップの物語 #065

ダッフル・コートはお好きですか。

ダッフル・コートは、恰好いいものです。
それに、暖かい。
さらには男の子も女の子も着ることができます。

duffel coat は、Duffel という小さな町で織られた生地で仕立てられたところから、その名前があります。
地名としては「デューフェル」でしょうが、それが英語訓みになって、「ダッフル」となったものです。

地名の「デューフェル」は、ベルギー、アントワープの近くにあります。
アントワープを中心に、昔はこのあたりをフランドルと呼ばれた地域なのです。
フランドルは中世から羊毛産業が栄えた場所で、ことにウールの生地は優れていて、広く海外に輸出されたものです。
フランドルを英語風に表現すると、「フランダース」にもなります。
たとえば、『フランダースの犬』という小説があるように。

『フランダースの犬』は、1872年に、英国人のウィーダが書いた物語。
九歳の少年とその愛犬との愛情物語。
何度読んでも涙がとまらない小説でもあります。

『フランダースの犬』もまた、アントワープ近くの小さな町が背景になっています。
少年の名前は、ニコラス。
愛犬の名前は、パトラシエ。
この感動の物語は、今、新潮文庫で読むことができます。
村岡花子の名訳。

新潮文庫の『フランダースの犬』の表紙には当然のことながら、パトラシエを抱くニコラスの姿が描かれています。
この絵を描いたのが、安野光雅。
安野光雅はニコラス少年に、ブルーのストライプのシャツを着せています。
ニコラス少年のシャツについては作者は触れてはいません。
つまり安野光雅の創作ということになるでしょう。

では、ニコラス少年はどんな帽子を被っているのか。

ブルーのキャップ。ちょっとマリン・キャップにも似ています。
マリン・キャップよりも少し大振りの帽子。

「ニコラス・キャップ」と呼びたい帽子になっています。

それというのも、クラウンの下、ハット・バンドがくるあたりが、赤い帯になっているのです。
その赤い帯は、上下がグリーンで縁取りされています。
ちょっと独特なのです。

この「ニコラス・キャップ」被ってみたい。

たぶん、ダッフル・コートにもよく似合うでしょうね。