ヌートリア・ハットの物語 #067

むかしむかし大昔には、たいていの帽子はビーヴァーの毛皮で作ったものです。

たとえば十八世紀には、「ビーヴァー・ハイハット」が大流行となったものです。
とにかく世界中で、ビーヴァー・ハイハットが紳士であることの証明だとされたほどです。
そこで男なら誰もが、ビーヴァー・ハイハットをかぶろうとしたわけです。

でも、どうして「ビーヴァー」だったのか。

まず第一に毛皮ですから、光沢が美しい。そして第二に、雨にも強かったからであります。
ビーヴァーはもともと水棲動物ですから、水に強い毛皮を持っているのです。

さて、ビーヴァー・ハイハットが流行った結果どうなったのか。

ビーヴァーが消えたのです。

ほとんど絶滅寸前に。これだけで、いかにビーヴァー・ハイハットが大流行りだったかが分かるでしょう。

ところでビーヴァーによく似た動物に、ヌートリアがいます。

ヌートリアもまたビーヴァーと同じく、水棲動物。
自分たちの住処を作るところもよく似ています。
そしてヌートリアも多く毛皮にされてきた歴史があります。

さて、そこで提案は、もう一度、ヌートリアの毛で、帽子を作ってみようではありませんか。

もう少し順序を追って説明いたしますと。
今、ヌートリアが殖えて困っているところもあります。
ヌートリアは大木を倒してしまうことさえありますから。
はっきり「害獣」と呼ぶ人さえいます。

さて、そこで。

ヌートリアを原材料としてフェルトを作り、その極上フェルトで、帽子を作る。
つまり、ヌートリア・ハットであります。