着帽の伝説 #072

アメリカに、ペンシルベニア州というのがあります。

ペンシルベニア州の別名を、「クエイカー・シティ」とも。
ペンシルベニア州は、多くクエイカー教信者によって建設されたと、考えられているからです。

クエイカー教信者の中心人物だったのが、ウイリアム・ペン。

ウイリアム・ペンのお父さんもまた、ウイリアム・ペン。
ウイリアム・ペンのお父さんは、英国王、チャールズ二世とも親しい間柄だったという。

それはともかく、今日のペンシルベニア州は、ウイリアム・ペンの名前に因んでいるのです。

ある時、ウイリアム・ペンが国王のチャールズ二世に面会したことがあります。

この折、ウイリアム・ペンは国王の前で、帽子を脱がなかった。
と、チャールズ二世のほうで、帽子を脱いだ。
で、ウイリアム・ペンは訊いた。

「なぜ、帽子をお脱ぎになるのですか?」

それに対する国王の答え。

「ペンよ、王のいる所では、帽子をかぶって良いのはひとりだけ、ということになっているのでね。」

また、こんな話もあります。

昔むかし、英国、ジョン王の時代。
例によって例のごとく、イングランドとフランスとが領土の奪い合いしていて。
結局、一騎討ちで決めよう、と。

それで選ばれたのが、ション・ド・コーシー。
コーシーは勇猛果敢な戦士。コーシーが馬を進めると、敵は直ちに、逃げた。
英国の勝ち。

この時、ジョン王は「なんでも欲しいものを褒美に与えるぞ。」

これに対するコーシーの返事。

「畏れながら申し上げます。誰の前でも帽子をかぶっていて良い特権を頂きとうございます。」

これでコーシーは、いつでも帽子をかぶっていられる権利を得たそうです。