ナイト・キャップの伝説 #076

今、辞書で「ナイト・キャップ」 nigh cap を調べると、「寝酒」と出ています。

夜、寝る前の、一杯の酒。それを、「ナイト・キャップ」。

一日が終わって。
好きなレコードも聴いたし、好きな本も読んだし。
さあ、寝よう。

そんな時の一杯が、ナイト・キャップ。

たとえば、コニャックだとか。
コニャックを一杯傾けて、寝床のライトを消す。
と、コニャックの黄金色の海で水浴している気分で、睡りにつけるわけです。

寝酒のナイト・キャップが、むかしの「寝帽子」からきているのは、間違いないでしょう。
そしてまた、cap と cup に引っ掛けてのシャレでもあったものと思われます。

寝帽子としてのナイト・キャップは、十四世紀にはすでにあったそうです。
そして十九世紀までは、ごくふつうに使われていたという。
このナイト・キャップの習慣は、「鬘」と関係があるみたいです。

昔、上流階級の男たちは、凝った、美しい、鬘を愛用した。
それが上流階級の印でもあったのです。
で、鬘のためにふだんは髪を短くしておいた。
そんなものですから、家に帰って鬘を取ると、どうも具合が悪い。
つまり鬘を外した後は、「部屋帽」をかぶった。
これがやがて「ナイト・キャップ」と呼ばれようになったものでしょう。

ナイト・キャップも最初は簡素なものでした。
が、だんだんと華麗になりまして、凝った絹地のものや、美しい房がつくようになった。
今でもナイト・キャップといえば、絹の房付き帽を想い浮かべる人が少なくないでしょう。

つまり、昔のナイト・キャップは、「部屋帽」でもあった。
ということは、今もう一度、「ナイト・キャップ」という名の、部屋帽を復活してもらいたいものではありませんか。