タモシャンターの伝説 #077

今の時代から眺めて、1920年代は遠い時代名のでしょうか。

それとも、近い時代なのでしょうか。
1920年代。
それはやがて百年前のことにもなるのですが。

たとえばアメリカの1920年代は、狂乱の時代だったと考えられています。
いうところの、「ロアリング・トゥエンティーズ」。
それは第一大戦後の、「激動の時代」でもあったのでしょう。

1920年代を象徴するアメリカの作家。
それはたぶん、フィッツジェラルドかと思われます。
フランシス・スコット・キイ・フィッツジェラルド。
ごく簡単に言って、1920年代に活躍し、また人気のあった小説家の名前です。

よく知られているところでは、『ザ・グレイト・ギャッツビー』があります。
これは今も翻訳本でも読めますし、何度も映画化された物語です。

映画化といえば、フィッツジェラルドの『雨の朝パリに死す』も映画になっています。
フィッツジェラルドが一過性も作家ではなかったことの証明になるのかも知れませんが。

そのフィッツジェラルドが1925年に書き、1926年に発表された短篇に、『金持ちの青年』があります。
短い小説で、すぐに読めてしまいます。
その後、長い感動の遺る物語です。

この中に。

「彼女のかぶっている赤いタマシャンター帽が…………………」。

飯島淳秀訳では、「タマシャンター帽」になっています。
が、これは「タモシャンター」tam-o-shanter のことでしょう。
そして短い小説の中に繰り返し「タマシャンター帽」が出てくるです。
深く、印象的です。

「タモシャンター」はもともとスコットランドの民族帽。
スコットランドの国民的詩人、ロバ・バーンズの『タモシャンター』に出てくるので、その名前があります。

そもそもは、「シャンターのタモ」の意味。
シャンター村に住んでいるタモという男の名前。

スコットランドの詩に出てくる帽子なので、アメリカの小説に登場するのも、当然なのでしょう。

それはともかく、1920年代のアメリカで、タモシャンターが流行していたのは、まず間違いないでしょう。