角帽の伝説 #085

角帽はクラウンの頂上が平たく、四角いキャップのことです。

つまり、たいていの場合はつばがついていません。
大学生が卒業式などにかぶる帽子のことです。
ツバのない代りに、長い房飾りの添えられることの多い帽子でもあります。

角帽は、明治十八年四月に、今の東京大学ではじまったとの説があります。
大学生が制帽をかぶることは、それまでにもいろんな紆余曲折があったらしい。
たとえば、ソフト・ハットが「制帽」とされた頃もあったようです。
ところが明治十八になってから、東京大学の生徒の中から、積極的な「制帽論」が出た。
これを大学が受けて、「角帽」が生まれたんだという。

では、「角帽」のヒントになったのは何か。

それは英国の大学の「モーターボード」だったのです。

「モーターボード」 mortar boad は日本で言うところの「角帽」。
いや、モーターボードから角帽が生まれているのです。
漆喰などを壁に塗る時の、受台。
あれがそもそもの、「モーターボード」。
モーターボードに似ている帽子だから、「モーターボード」。

オックスフォード大学でも、ケンブリッジ大学でも、古くからモーターボードが採用されていました。

当時の東京大学の生徒は、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の、モーターボードのそれぞれ良いところを組み合わせて、「角帽」を仕上げたんだそうです。

つまりオックスフォード型でもケンブリッジ型でもなく、まさに「東大型」であったことになります。

大学側が一方的に押しつけた帽子ではなく、生徒自身がそれを望んだところに「角帽」の意味があったと思います。

明治十八年は、西暦の1885年ですから、あの角帽の歴史もざっと120年にもなるわけですね。