ボネの物語 #088

「サボる」という言葉があります。

「きょうのマラソン、サボっちゃおうかな…………」とか。
この「サボる」も、もともとはフランス語から来ているんだそうですね。
サボタージ sabotage を短くして、「サボる」。
サボタージはれっきとしたフランス語。
「サボタージ」は、「怠業」の意味。

昔むかし、フランスでは労働条件が悪い時、自分たちが履いている木靴で、機械を壊した。
ここから「サボタージ」の言葉が生まれたのです。

古い時代の労働者はたいてい、サボ sabot を履いていたから。
サボは、木靴のこと。
サボは木の塊をくり抜いて作る靴。
濡れた場所でも滑らないので、重宝したものです。

サボにもいろんな種類があって。
時と場合によっては、美しくペイントされることも。
木靴の甲の部分に、花の絵を描いたりしたものです。

また、新しいうちは、履き心地をよくするために、木靴の中に藁を詰めたりもしたという。

フランスの作家、ギイ・ド・モオパッサンの短篇に、『木靴』があります。
原題はもちろん、『サボ』。
この中に。

「畑の香りを含んだ微風が、玄関から吹き込んできて、ボンネットの長いリボンをひらひらさせながら……………」。

これは土地の女がかぶっている、白いボンネットのこと。
土地とは、北フランス、ノルマンディー。

ただしボンネットは、英語。
フランス語では、「ボネ」 bonnet 。

「ボネ」は、頭にぴったりとかぶる帽子の総称。
ボネは古いフランス語で「丘」を意味する、ボネbonne から出ているらしい。
つまり、丸いクラウンの、縁無し帽のことです。

ただ、以前のノルマンディーでは、コットンやレエスなどのヤマの高い民族帽が愛用されたようです。

今、もう一度、「ボネ」を復活させようではありませんか。