ミリアム・ハットの物語 #089

なんの世界にも傑作というものがあります。
名作、名品のことですね。

たとえば演劇の世界にも、名品はあります。
いや演劇となりますと、あまりにも傑作の数が多いのかも知れません。
それにまた、人それぞれの好みがありますから、どれかひとつを「これ!」と決めつけるのは、難しい。

難しいのを承知の上で申しますと、『欲望という名の電車』。
1947年にテネシー・ウイリアムズが発表した演劇。
この舞台があまりにヒットしたために、1951年に映画化されたのは、ご存じの通り。
これはヴィヴィアン・リーと、マーロン・ブランドとの共演。

『欲望という名の電車』の背景は、ニューオーリンズのフレンチ・クォーター。
当時は実際に、「欲望行き」の路面電車が走っていたんだという。
テネシー・ウイリアムズは若い頃、ニューオーリンズに住んだことがあったので、その電車のことを覚えていたのでしょう。

アメリカ東部の若者が、ブルー・ジーンズを穿くようになったのは、『欲望という名の電車』におけるマーロン・ブランドの影響だった、との話があります。
演劇の、舞台影響は少なくないのでしょう。

テネシー・ウイリアムズが、1969年に発表した演劇に、『東京のホテルのバーにて』があります。
テネシー・ウイリアムズは、日本に三回来ていますから、その時に想を得たものと思われます。

『東京のホテルのバーにて』には、「ミリアム」という名のアメリカ人女性が登場。
ミリアムもご主人が、マークという画家という設定になっています。
この「マーク」にはテネシー・ウイリアムズ自身が投影されています。

それはともかく、『東京のホテルのバーにて』は、登場のことですが、あるホテルのバーで幕を開けます。
そのト書きに。

「てっぺんに濃紺の羽根飾りのついた帽子をかぶっている。」

と、書かれています。

もちろん、ミリアムのかぶっている帽子。

「てっぺんに濃紺の羽根飾りのついた………………」。
これは、どんなスタイルなんでしょうか。

ぜひ、再現してみたい。

名前は言うまでもなく、「ミリアム・ハット」でしょう。