ホワイト・リネン・ハットの物語 #091

ラヴァラヴァという衣裳があります。

「ラヴァラヴァ」 lava lava は、もともはサモア語なんだそうです。
「腰布」の意味。
ラヴァラヴァはだいたい大判のスカーフくらいの大きさで、一枚の布地。
この布地を腰に巻いたり身体に巻いたり。
それが本来のラヴァラヴァの姿だったようです。

ラヴァラヴァは、マレー語の「サロン」sarong にも近いものです。
あるいはタヒチの、「パレオ」pareo にも似ています。

ラヴァラヴァ、もしくはそれに近い衣裳は人類の歴史とともにあった。
そうも言いたくなってくるほどに、単純明快な服装であります。

「ラヴァラヴァ」と呼ぶかどうかはさておき、一枚の布地を身体に巻く衣裳は、すべてのファッションの起源でもあるでしょう。
古代ギリシアの「ペプロス」なども、一枚の布地からはじまっています。

「ラヴァラヴァ」を、どうして知ったのか。

モオムの小説を読んでいて。
サマセット・モオムが、1921年に発表した『雨』。
今から百年近く前の短篇。
でも、世界の短篇の中でも、ことに印象に遺る物語と言って良いでしょう。

『雨』は、南の島々が背景になっていますから、ラヴァラヴァが出てくるのも当然でしょう。

「男も女もラヴァラヴァを着ていた。」

そんな風に書いています。

また、『雨』には、こんな描写も出てきます。

「白い服を着、大きな白い帽子をかぶっている。」

これは同じ船に乗り合わせた、二十七歳くらいの、謎の女性。
南洋で、夏ですから、白い服に白い帽子も当然でしょう。

ここからふっと想うのですが。

クラウンの大きな、ブリムの広い、白麻の帽子はいかがでしょうか。
「ホワイト・リネン・ハット」を。