キャメル・キャップの物語 #052

空を見上げると、「伊丹十三」という名前の星があります。

もっとも肉眼では見えません。
天体望遠鏡が必要になります。
でも、この広い宇宙に「伊丹十三」が星として輝いていることには、間違いありません。

愛媛県の、久万高原天体観測館で発見された星だから。
伊丹十三は学生時代を、愛媛県松山で過ごしていることに因んで名づけられたものです。

伊丹十三は、もちろん伊丹万作の息子。
伊丹万作は映画監督としての名前で。本名は、池内義豊。
池内義豊の子どもなので、池内義弘。
これが伊丹十三の、本名。
ただし最初の芸名は、「伊丹一三」。
後に、「−を+にする」というので、伊丹十三に変えたものです。

伊丹十三は多才な芸術家で、なにをやっても上手いお方でした。
また、服を着こなす名人でもありました。
日本人でありながら、あれほど巧みに洋服を着こなした人物は、特筆に価します。

伊丹十三が兄とも慕ったのが、山口 瞳。
伊丹十三が宮本信子と結婚したのが、1969年1月1日。
この時の仲人が、山口 瞳。
結婚の直前まで、山口 瞳は何も聞かされてはいなかった。

1月1日の早朝、山口家の呼び鈴が鳴る。
出てみると、伊丹十三と宮本信子が立っている。
その時の伊丹十三の言葉。

「僕たちこれから結婚式だから、立会人になってよ………」。

あらかじめお願いすると断られるだろうと、先手を打ったわけ。
山口 瞳はベッドから起き出して、一緒に谷保天満宮に向かったという。

この時、伊丹十三が着ていたのが、キャメルのコート。

宮本信子もお揃いの、キャメルのコート。

そしてこのキャメルとお揃いの生地で、ハンティングを被って。
もちろん、宮本信子も同じ帽子。
やりますねえ。

ではひとつ。

伊丹十三に倣って、「キャメル・キャップ」を作ってみようではありませんか。