デイジー・ハットの物語 #095

1920年代のアメリカはどんな風だったのか。

さあ。
今からやがて百年前の話ですからね。

ひとつ忘れてならないのは、「禁酒法」でしょうか。

アメリカでの「禁酒法」は、1920年にはじまっています。
「禁酒法」があったからこそ、「密造酒」が生まれ、密造酒があったからこそアル・カポネをはじめとするギャングの暗躍があったわけです。

ギャングの暗躍をも含めて、「ロアリング・トゥエンティ」の時代でもありました。
「激動の時代」。
第一次大戦と、第二次大戦に挟まれた、落ちつきのない時代でもあったわけです。

女性のファッションでは、「フラッパー」が新しい時代の象徴となったものです。
断髪で、ショート・スカート姿の。

フラッパー flaper は、靴の履き方から生まれた言葉との説があります。
当時履口をストラップで留める式の靴が流行った。
でも新しい時代の新しい女は、わざとその留め金を留めないで履いた。
ために歩くとパタパタ音がする。
で、「フラッパー」の言葉が生まれたんだ、と。

1920年代、フラッパーと言って思い出す人に、ゼルダ・セイヤーがいます。
当時の新しい女で、美人。
後に、フィッツジェラルドの奥さんになる、あのゼルダ。

1920年代のアメリカを代表する作家が、フィッツジェラルド。
スコット・フィッツジェラルド。
フィッツジェラルドの代表作が、『グレート・ギャツビー』。
1923年に書きはじめられて、1925年に発表された小説。
何度か、映画化もされています。

『グレート・ギャツビー』の中に。

「ラヴェンダー色の帽子の、三角のひさし下から、デイジーはかすかに首をかしげ…………………」。

と、出てきます。

「三角のひさし」とはどんな形なのか。
原文には、こう書いてあります。

「スリー・コーナード・ラヴェンダー・ハット」。
three ーcornared lavender hat

要するに、現代版のトリコルヌなんですね。
それがラヴェンダー色だと。
もちろん、デイジーがかぶっている帽子。

「デイジー・ハット」と名づけて、もう一度、トリコルヌを復活させたいものですね。