ガブリオレの物語 #099

十九世紀以前と、二十世紀以降と、何が、どう違っているのでしょうか。

たとえば電気に頼らない時代と、電気に頼る時代との違い、そんな風にも言えるでしょう。

あるいはまた、馬車の時代と、自動車の時代。
これもひとつの例ですが。
シャーロック・ホームズを読んでいると、たいてい馬車が出てきます。
今のタクシーに似て、「貸し馬車」を呼びとめて、どこかに出かけたりするわけです。

現在の自家用車と同じように、自前の馬車ももちろんありました。
が、自前の馬車はなにかと物入りで、貴族や富豪にふさわしいものだったのです。
そこで一般庶民は多く、必要に応じて、「貸し馬車」を利用したんだそうです。
馬車の種類にも数多くあって、これは今日の自動車のスタイルと同じことでしょう。

まず、大きく二つに分けると、四輪馬車と、二輪馬車。
これは読んで字のごとく、馬車の車輪が四つなのか、二つなのかで区別したものです。
もちろん四輪馬車が豪華で、二輪馬車が軽便という印象であったのですが。

「カレーシュ」や「ペルリーヌ」は、四輪馬車。
「タンデム」や「チルビリー」は、二輪馬車。
今でもエルメスに「カレーシュ」という香水があります。
おそらく十九世紀の貴婦人を想わせる薫りなのでしょう。

二輪馬車のひとつに、「カブリオレ」 c abr i ol et があります。
カブリオレは、幌付きの馬車。
この幌は必要に応じて、畳むこともできるもの。
時に、「キャブリオレ」と表記されることもあるようですが。

「カブリオレ」はまた、婦人帽の名前でもあって。

まるで馬車の幌のような形の帽子。
もちろん、後ろに畳んでおくことも可能です。

今、もう一度、カブリオレを復活させてみたいものですね。