ヨッティング・キャップの物語 #104

ヨット・キャップはもともとヨットに乗るのにふさわしい帽子なので、その名前があるのでしょう。

「ヨッティング・キャップ」と呼ぶこともあります。
「セイリング・キャップ」とも、「マリン・キャップ」とも呼ばれることがあります。

ヨット・キャップは、多くネイヴィ・ブルーで仕上げられます。
これは英国海軍のユニフォームの影響を受けてのことでしょう。
素材は、しっかりとしたメルトンなどが多いようです。

ヨット・キャップは日本の学生帽に似てなくもありません。
帽子の前には、やや短い庇がついていて。
一般にキャップの場合の庇は、「ヴァイザー」と言います。
あるいは、「ピーク」。

ヨット・キャップのヴァイザーにも大きく分けて、二種があります。
同じくメルトンで仕立てられるものと、エナメル・レザーのヴァイザーが付けられるものと。

本式のヨット・キャップには、ヴァイザー部分に金モールなどが飾られることがあります。
時と場合によってはその金モールの装飾によって、地位や階級を示したりするわけですね。

昔、ギリシアの船舶王のオナシスが、あえて一般船員のかぶるヨット・キャップを愛用したのは、有名な話であります。

ヨット・キャップが出てくる小説に、『スコットランドの早春』があります。
『スコットランドの早春』は、スコットランド在住の女性作家、ロザムンド・ピルチャーが、1972年に発表して物語。

「おまけに室内なのにどうしてか、形のくずれたヨット用の帽子をかぶっていた。」

これはキャロラインの弟、ジョディーの様子。

このヨット・キャップは、実はジョディーのお父さんの遺品という設定。
ジョディーはお父さんの想い出を偲ぶために、そのヨット・キャップをかぶっているわけですね。

帽子が、ひとつのなんでもない帽子が、それを愛用した人物の象徴ともなることがあるのでしょう。