しゃっぽの伝説 #109

「赤ゲット」という言葉を聞いたことがありますか。

今はふつうには使いません。
でも、明治の時代には、よく「赤ゲット」と言ったものです。

つまりは、明治語。

赤ゲットは、「赤いブランケット」の意味なのです。
赤いブランケットを略して、「赤ゲット」。
実際に、赤い毛布だったのです。

では、赤い毛布をどんな風に使ったのか。

旅行用の外套として。
明治の頃には今のような旅行用コートはなかった。
それでコート代わりに、毛布を肩に羽織った。
それを「赤ゲット」の名前で呼んだのです。

あまりにも旅行用の「赤ゲット」が多いので、そのうちに赤ゲットは、「お上りさん」の意味になってしまったほどです。

やはり明治の時代、徳冨蘆花は、お伊勢さん参りをした。
その時に、『伊勢参宮』という随筆を書いています。
『伊勢参宮』には、自作の歌も含まれています。その中に。

♫ 赤ひ毛布に、股引………………

「毛布」の横に「けつと」と、ルビがふってあります。
この歌を信じる限り、徳冨蘆花はお伊勢さんに、赤ゲット姿だったものと思われます。

『伊勢参宮』には、こんな表現もあります。「赤ゲット」の前に。

「古ひしゃつぽを、横ちよにかあぶり………………」

これはもちろん、「古いしゃっぽ」のこと。

これまた想像ですが。

徳冨蘆花はお伊勢詣でに、クラッシックなソフトをかぶっていたのかも知れませんね。