レーニン・キャップの物語 #108

「歌は世に連れ 世は歌に連れ」なんてことを申します。

その時代その時代に流行する歌があります。
だからこそ、流行歌と呼ばれるのでしょう。

50年前に大流行した歌があったとして。
それが50年後も同じように大流行となるのか。

必ずしもそうとは限りません。
だからこそ、「歌は世に連れ 世は歌に連れ」の言葉は、不変なのでしょう。

しかしながら、世の中にはリヴァイヴァルということもあるのです。

むかし流行った歌がまた何年後か、何十年後か、何百年後かに、ふたたび流行となったりすることもあります。
そのように考えるなら、新しいからすべて良しでもなければ、古いからすべて良くないわけでもありません。

昭和十二年に、『婦人家庭百科辞典』というのが出ています。
今もある三省堂書店から。
昭和十二年ということは、今からざっと八十年以上前。
古いといえばたしかに、古い。
古いけれども、面白い。

たとえば、「帽子」のところを開いてみますと、「レーニン帽」という項目があります。
第一、最新の「服飾辞典」などには「レーニン帽」は見当たらないはず。

「ウェル帽ともいひ、黑と紺の羅紗でつくる。」

と、説明されているのですが。

この説明がよく分からない。
だから、面白い。
ただ、図版が出ているので、それを見ると。

クラウンの大きなキャップ。
そしてヴァイザーを上に上げてかぶる帽子のようです。
そのむかし、ロシアのレーニンが愛用したものでしょうか。

昭和十二年は、やがて百年も目前で、もう一度流行って欲しいものですね。