クラマー・キャップの物語 #112

鞍馬天狗の話は、たぶんご存じでしょう。

鞍馬天狗は、あの牛若丸に剣術を教えたという、伝説上の大天狗のこと。
この鞍馬天狗にヒントを得た小説が、大佛次郎の、『鞍馬天狗』なんですね。
何度も映画化されていますから、ご記憶のことでしょう。

映画の中で鞍馬天狗を演じたのが、嵐寛寿郎。
ずいぶんと人気を博したものであります。
私なんぞも黒い布を頭に巻いて、鞍馬天狗になったつもりごっこをしたものです。

でも、あの鞍馬天狗の頭巾の巻き方、とてもとても、難しい。

大佛次郎がはじめて鞍馬天狗を登場させたのは、『鬼面の老女』という物語。
大正十三年の、『ポケット』誌に掲載されたものなんだそうです。
この中に。

「この男は黒い頭巾に頭をつつんでいるが堂々たる偉丈夫で、相当の礼儀を知っていることは直ぐわかった。」

「この男」が鞍馬天狗であるのは、言うまでもないでしょう。
ということは、鞍馬天狗は登場の時からすでに印象が完成されていたのですね。

ところで、鞍馬天狗の頭巾の上だけをとって、キャップが作れないものでしょうか。

名づけて、「クラマー・キャップ」。