リリー・ハットの伝説 #115

ファッション・デザイナーに、星の数ほどの人びとがいるように、ハット・デザイナーにも多くの優れた人たちがいます。

古今東西のハット・デザイナーの中で、忘れてならない人物に、リリーがいます。

リリー・ダッシェ。

リリー・ダッシェは1907年、フランスに生まれています。
若くしてリリーは、フランスのボルドーで「帽子造り」を学んだと伝えられています。そ
して帽子造りはリリーの天性とぴったりと合ったのです。

1910年代には、リリーは巴里でも学び、帽子造りの腕をふるっています。
が、その後、アメリカの、ニューヨークへ。
1920年代、ニューヨークで自分のアトリエを開いています。
一時期、「メイシーズ」の帽子部門を担当していたこともあったようです。

リリー・ダッシェがもっとも得意としたのが、ターバン。
ターバンと言っても実際には帽子なのですが。
つまりターバン型に創った帽子だったのです。
一枚の布をドレイピングすることで、ターバンに見える帽子に仕上げたのです。

リリーは、グレタ・ガルボをはじめ、多くのハリウッド女優の帽子をも手掛けています。

リリーの帽子に惚れたひとりに、モリーがいます。
当時のアメリカで人気のあったデザイナー。
モリー・パーニス。

そんなわけでドレスのデザインは、モリー・パーニス、ハットはリリー・ダッシェという組み合わせが少なくなかったのです。

リリーで有名なのは、ジャッキーの帽子。
その頃、大統領夫人であったジャクリーヌ・ケネディの帽子はほとんど、リリーが手がけたものだったのです。

1941年にリリーが発表した「ターバン・ハット」に、黒無地のそれがあります。
大きなエメラルドと、スパンコールをあしらったデザイン。
そのエメラルドが本物だったのですから、参ってしまいます。

二十一世紀のリリー・ダッシェの登場を、待ちたいものです。