エイドリアン・ハットの物語 #115

「エイドリアン・ハット」Adrian hat は、いわゆるガルボ・ハットのことなのです。

オープン・クラウンの、ワイド・ブリムの帽子。
その広いブリムを自由自在にかぶるからこその、ガルボ・ハットなのでしょう。
もちろん、ハリウッド・スターの、グレタ・ガルボが映画の中でかぶったからその名前が生まれたわけです。

その映画とは、1928年の『恋多き女』。
グレタ・ガルボはその中で、「ダイアナ」の役を演じる。
相手役は、ジョン・ギルバート。

ジョン・ギルバートと、グレタ・ガルボ。
あまりにも名演なので、私生活でもよほど親しいのだろうと、噂されたほどでありました。

その『恋多き女』での衣裳デザイナーが、エイドリアン。
本名は、ギルバート・エイドリアン。
でも、ビジネス・ネームとしては常に「エイドリアン」で通した人物であります。

エイドリアンは、『恋多き女』のみならず、グレタ・ガルボの映画衣裳を多く担当してもいます。
エイドリアンがガルボに対して心がけたのは、「シンプル!」。

ガルボはもう存在しているだけで「美の塊」。
それを邪魔してはならないと考えたからです。

衣裳もシンプルなら、帽子もシンプル。
そこでエイドリアンは、ガルボに「スラウチ・ハット」をかぶせることに。
それがのちに「ガルボ・ハット」と呼ばれることになったのです。

ただし、1920年代末のアメリカではむしろ「エイドリアン・ハット」と、称されたものであります。

もう一度、二十一世紀版の、エイドリアン・ハットを作ってみようではありませんか。