鞄帽子の伝説 #119

帽子、ハット、ヘッド・ウエア。

世の中には、実に多くの帽子があります。
とにかく頭の上に乗せることができるなら、それはすべて「帽子」となり得るのですからね。

たとえば、シルク・ハット。
シルク・ハットは威厳のための被り物でありますから、クラウンが高い。
高すぎるほどに高い。
もし天井が低い家があったなら。
「私のシルク・ハットの高いに合わせて、天井をもっと高くして頂きたい」と、言いたそうなハイ・クラウンもあるほどに。

シルク・ハットは極端な例ですが、少なからぬ帽子が、クラウンの内側と頭との間に空間が生じます。
この貴重な空間を活用する方法はいろいろと考えられてきたようです。

たとえばちょっとしたギフト・ボックスをクラウンの内側に収めておいて。
突然であるかのように、帽子から取り出して、相手に渡すだとか。

英國の、チャールズ・ディケンズが、1836年に発表した小説に、『無商旅人』があります。
これを読んでいると。

「彼はその帽子から大きな冷えたミート・プディングを取り出した。そのミート・プディングはとてつもなくおおきく、帽子にきっちり合っていたので、それには帽子の裏地の跡がついて取り出された。」

ここでの「ミート・プディング」は、ちゃんとした食事のこと。
ハンバーグに似ていなくもない料理。
当時の英國人はよく食べたんだそうですが。

いや、料理の話ではなくて。
帽子にはそんな物まで入れておけるんですね。

ディケンズはさておき、プディングはさておき。

帽子の内側にポケットがあったら、どうでしょうか。

名づけて、「鞄帽子」なのですが。