フィジリアン・ハットの物語 #120

フィジリアン・キャップは、ちょっと発音しにくい言葉ですが、これもまた帽子の名前なのです。
それもたいへんに古い帽子でもあります。

phryg i an と書いて、「フィジリアン」と訓みます。

頭にぴったりとかぶるキャップのことで、前びさしなども付いてはいません。
ただ、フェルト以外にも、レザーやウール地など、様ざまな素材で作られたものです。
この「フィジリアン・キャップ」は、主に古代ギリシアの帽子を指して用いられます。
古代ギリシアの民衆たちが愛用した帽子。

フィジリアン・キャップは、時にクラウンの先端を長く尖らせることもあったようです。

このフィジリアン・キャップは、古代ローマにも引き継がれて、「ピレウス」と呼ばれたものです。
p i l e us と書きます。
古代ローマの僧侶たちはまず例外なく、ピレウスをかぶった。
また、ローマ市民の愛用した帽子だったのです。

フランス革命期の市民、つまり、サンキュロットの人たちがかぶったのも、ピレウスだったのです。
彼らはピレウスをかぶることによって、貴族ではないことを誇示したのであります。

フランス革命期の帽子だったので、これを諸外国では、「リバティ・キャップ」の名前で呼んだものです。

つまり、「リバティ・キャップ」も、「ピレウス」も、「フィジリアン・キャップ」も、もともとは同じ帽子だったということになるわけですね。