コモードの物語 #129

昔むかし、「コモード」と呼ばれる帽子がありました。

たしかに頭にかぶるものでしたが、その時代の女としては、「ヘッド・ドレス」、つまり頭への装飾だと考えられていたようですが。

コモード c omm od e がどうして「コモード」なのか、よく分かってはいません。
もともとは抽斗の多いたて長の小箪笥の意味であったらしい。
もしかすればこの小箪笥からの連想であったのかも知れませんが。

「コモード」の言葉は、1686年頃から使われているそうです。
たぶん十七世紀の貴婦人によって愛用されたものだと思われます。

コモードはたいていレエスで作られたもの。
あるいはレエスに似た素材。
そのレエスをさらにリボンなどで縁取りするのですから、華麗の上にも華麗であったでしょう。

しかも数多くのレエスを、上に上に盛り上げるのですから、まるでエヴェレストのような帽子だったのです。
レエスはふつう下に垂れるもの。
これを上に盛り上げるためには、糊づけを施したに違いありません。

そのためにつけられてあだ名が、「タワー」。
塔のごとく聳えた帽子だったのです。

もし、今の時代にあって、帽子の高さコンテストを行うなら、たぶん第一位となるでしょう。

コモードはイギリスでの呼び方。
フランスでは、「フォンタンジュ」。
フォンタンジュはもともと高く結い上げる髪型。
このフォンタンジュ髪に似ているので、帽子もまた「フォンタンジュ」と称されたのです。

レエスの、高い高い帽子。

そうそう、ブリムなしですから、キャップということになるのですが、ぜひカンバックしてもらいたいものです。