バヴォレの物語 #131

バヴォレは、十九世紀、フランスの貴婦人の間で流行になった帽子のことです。

バヴォレは、帽子にしっぽがついているのが、特徴。
垂れというか、テイルというか、頸の後ろまで長く伸びている帽子なのです。

bavolet と書いて、「バヴォレ」と訓みます。
このバヴォレは、古代フランス語の、「ヴァレ」 valet から出ているとの説があります。
ヴァレは小さなヴェールのことで、後ろに長い垂れが添えられていた。
そこから「バヴォレ」の名前が生まれたというのです。

バヴォレは昔むかし、フランスの農婦がかぶる帽子だったという。
農婦が農作業のとき、頸筋が陽に灼けないように、しっぽがついていた。
これをヒントにテイルのある帽子が生まれたんだそうです。

フランスに「バヴォレ」があれば、イギリスに「ハヴェロック」があります。
ハヴェロックは以前にもお話したので、くどくは申しません。
ある軍人の知恵から生まれた頸への垂れであります。

もちろんその表現方法は大きく異なってはいますが、根本の考え方は同じ。
農婦だったのか、軍人だったかの違い。
頸筋の保護では、同一の発想ですね。

帽子のスタイルにもいろんなのがあります。
が、このバヴォレのように、なにかスタイルの裏に「物語」が隠れている帽子こそ、長く人びとに愛されるのではないでしょうか。