ランジェリー・ハットの伝説 #133

「ランジェリー」という言い方があります。
いや、それとも「ありました」と過去形を使うべきなのでしょうか。
もちろん、女の人の下着全般を指しての総称だったのですが。

英語でもフランス語でも、「ランジェリー」 lingerie の言葉で呼ばれたものです。

これはフランス語の「ランジュ」 linge から出ています。
英語の「リネン」に相当する表現なのです。
つまりは、麻、「亜麻」のこと。

その昔、女性の下着に、多く亜麻が用いられた事を物語ってもいます。
いや、女性の下着ばかりではなく、男の下着もほとんどが、亜麻、すなわちリネンだったのです。

今、私たちはコットンのハンカチを使い、コットンのシャツを着るでしょう。
でも、十九世紀以前には、まず例外なく亜麻、リネンだったのです。

これはテーブルクロスやシーツに至るまでが、そうであった。
今日、ホテルなどに行きますと、「リネン室」というのがあって、ここにテーブルクロスやナプキンなどを仕舞ってあります。
「リネン室」もまた、昔の名残りなのです。

リネンはコットンと違って、洗えば洗うほど白くなるという不思議な性質を持っています。
それに洗って陽に干すと、すぐに乾いてくれるのも、リネンだからこそ。
あらゆる天然繊維の中で、もっとも乾きやすい繊維でもあるのです。
それに、強い。
昔の船のロープにはマニラ麻などが用いられたものです。

余談はさておき、「ランジェリー・ハット」もまた、「帽子辞典」には出ています。

ランジェリー・ハットとは、レエス製の帽子のこと。
ランジェリーには多くレエスが使われるので、そこからの連想で、「ランジェリー・ハット」の言葉が生まれたのでしょう。

レエスの帽子は優雅なものですし、また「ランジェリー・ハット」の名前もまた、雅びではありませんか。