カシュ・オレイユの伝説 #138

カシュ・オレイユ cache-oreille は、フランス語で「耳隠し」の意味です。
ほんとうに耳だけを隠してくれるくらいの、小さな小さな帽子のことです。
貴婦人が夜のパーティーに用いるには最上のアクササリーとなってくれるでしょう。

とにかく「カシュ」には「隠す」の意味があるのです。

たとえば、「カシュ・シニヨン」。
カシュ・シニヨンもまた、小さな小さな帽子なのです。
シニヨンだけを隠してくれる帽子。

シニヨンは、髷のこと。
美しい女の人がよく髪を後ろで束ねて髷にするでしょう。
あれがシニヨンなのです。
そのシニヨンにすっぽりかぶせる帽子が、「カシュ・シニヨン」なのです。

1960年頃までは、多くオートクチュールのモデルが、そんな髪型をしたものです。

モデルは、フランス語で、「マヌカン」mannequin と言います。
これが明治になって日本に輸入された時。
当時の日本人は、困った。
「招かん」では、いけない。
客が来ないではないか。
それで、「マネキン」になったという。
たぶんその時代の日本人の頭には、「招金」の文字があったのでしょう。

いや、フランスの「マヌカン」の話だったのですが。

とにかく、「カシュ・オレイユ」というエレガントな、小さな帽子があること、覚えておいてくださいね。