トックの物語 #138

トックは、toqueと書きます。
これで「トック」と訓むのは、フランス式。
イギリスでもtoque ですが、「トーク」の発音に近いようです。

つまりトークでもあり、トックでもあるわけですが、頭にぴったりとかぶる婦人帽のことですね。
そしてトックにはかなり幅広いものがあります。
いずれにしても、ブリムレス・キャップなのですが。

フランス語のトックは、古いイタリア語の「トッカ」 tocca からきているとのこと。
イタリアからフランス、フランスからイギリスへ伝えられた帽子と考えるのが、自然でありましょう。

フランスでは、かなりはやい時代のバレエなどにも用いられてという。
髪を束ねての、身体の動きにも最適の帽子だったからでしょう。
要するに、「運動帽」の役目でもあったものと思われます。
それが十九世紀に入ってからは、貴婦人にもふさわしい帽子へと変身するのです。

たしかにトックはシンプルな帽子ではありが、そのかぶり方によっては、優雅で、気品の漂う帽子にもなります。

このトック、またはトークがたいへんに流行したために、「トーケット」toquette の言葉も生まれてほどです。

これは、1956年に、サリー・ヴィクターという帽子デザイナーが命名したものです。