バンビン・ハットの物語 #139

バンビン・ハットは、純然たる帽子用語でありましょう。
ふだんはあまり用いられませんが、アメリカの『服飾辞典』には、その項目が出ています。

アメリカの、メアリー・ブルックス・ピッケンが、1939年に編んだ、『ザ・ファッション・ディクショナール』のことです。
これはその後も何度か版を重ねていますが、名著といってよいでしょう。
少なくとも私は、アメリカのファッション用語であやふやなところがあったなら、このメアリー・ブルックス・ピッケンの『服飾辞典』を開いてみることにしています。

それはともかく、「バンビン・ハット」の名称があることは、間違いありません。

これは、イタリア語の「バンビーノ」がアメリカに伝えられて変化した言葉。
つまり、「子どもみたいな帽子」の意味になります。
ただし、大人の帽子であるのは申すまでもありません。

帽子には、「ハーロー」の表現がありますが、バンビン・ハットはまさにハーローのひとつなのです。
つまり、うんと帽子全体を、後ろに傾けてかぶるスタイル。
これを一般に「ハーロー」と言います。
日本語の、「後光」を指す表現です。

バンビン・ハットは、ブリム全体を上にロールさせ、しかもハーロー式にかぶるわけですから、赤ちゃんみたいと呼ぶわけですね。

バンビン・ハットで、子どもの心に還ってみるのも、悪くはありませんよね。