明治帽の伝説 #141

「明治帽」とは、明治時代の帽子のことです。
が、「帽子用語辞典」には出ておりません。
今、とっさに私が思いついた名前ですから。

でも、明治期には明治風の帽子があっただろうことも、また、間違いではないでしょう。
江戸時代から明治になって、西洋の帽子が入ってきた。
それにすぐさま反応して、取り入れた日本人はとても立派だと思います。
もっともそれは日本人の中でも、主に特権階級の人たちだったのですが。

いや、それは逆さまことで、明治のはじめ、直ちに西洋文化を吸収することが、地位の象徴だったのです。

「焦茶色の中折帽、眞新しいは扨て可いが、馴れない天窓に山立てて、鍔をしつくりと耳へ被さるばかり深く嵌め………………………」。

泉 鏡花が、明治四十三年に発表した『歌行燈』の一節には、そのように出ています。
「天窓」と書いて、「あたま」と訓ませているのですが。

それはともかく、下手な帽子のかぶり方を、たしなめているのでしょう。

ということは泉 鏡花自身は「中折帽」のかぶり方を弁えていたものと思われます

というのは、泉 鏡花は和服の上に西洋の帽子を戴いたのですから。