ロゼットの物語 #147

ジョン・ディクスン・カーの『ビロードの悪魔』という本を読んでいると、こんな話が出てきます。

「それぞれの帽子には、グリーン・リボンの丸花飾りがついていた。」

この「丸花飾り」の横には、「ロゼット」のルビが振ってあります。

『ビロードの悪夢』が出たのは、1959年。
でも、物語自体は、十七世紀に置かれています。
つまりは歴史小説なのです。

しかも『ビロードの悪魔』には、何度もこの「ロゼット」が出てくる。
帽子の「ロゼット」はいったい何のことなのか。

ロゼットは、 rosette と書きます。
ふつう、「薔薇飾り」とも訳される言葉。
それというのも、昔むかし、フランス語の「ロオゼ」 rose から来ている言葉なので。

薔薇飾りはその名の通り、絹地などで作った、丸い、薔薇の花弁ふうの装飾のこと。
大きさはマカロンとシュークリームとの中間くらい。
このロゼットは、男の帽子の正面に飾ったものなのです。

ロゼットを今すぐ復活させるかどうかは、さておき。

むかしのヨーロッパには、そのような美しい習慣があったことは、覚えておきたいものです。