ブートニエール・ハットの伝説 #150

十九世紀の洒落者にあって、二十一世紀の今日にないものに、「ブートニエール」があります。

ブートニエールはフランス語で「ボタン穴」の意味。
これがイギリスに参りますと、「襟穴に挿す飾り花」の意味になるのです。

襟穴とはむかしの第一ボタン穴の名残りなんですが、ここに一輪の花をあしらうことを、ブートニエール。

十九世紀の洒落者は、まず例外なくブートニエールを挿したものであります。
若い男などは、朝、カフェに寄ろうか、それとも一本のブートニエールを買おうかと、迷ったものなんだそうです。

ブートニエールはもちろん生花ですから、夕方には萎れてくる
。これを萎らせないための工夫が、「フラワー・ボトル」だったのです。

小さな金属製、またはガラス製の小壜。
このフラワー・ボトルに水を入れて、襟裏に吊しておく。

ブートニエール自体はむろん、その茎をフラワー・ボトルに差しておくわけです。
こうしておくと、ほぼ一日は明るい元気な顔をしていてくれるのであります。

十九世紀に、フラワー・ボトルがあったのなら、帽子にも生花を飾ることができるではありませんか。

婦人帽に花はつきものでしょう。
が、それはたいてい作り花であります。

が、もしフラワー・ボトルをハット・バンドに据えて置くなら、一輪の生花が飾れるのであります。

フラワー・ハット、ぜひぜひ、実現させたいものですね。