ニュウ・ハットの物語 #153

むかしの、古い本を眺めるのは、愉しいものです。
ちょっとしたタイムトンネルをくぐるみたいなものでしょうか。

たとえばここに、「紳士の礼儀」という本があります。
原題は、『マナー・フォー・メン』。
1987年に刊行されています。
著者は、「ミセス・ハンフリー」とあります。
もちろん、イギリスで出版された本です。
今から120年ほど前のことになりますが。

『マナー・フォー・メン』ですから、いろんなエティケットについて書かれているのも、当時でしょう。

その中に、新郎の衣裳についても。
つまり花婿は結婚式に、どんな恰好をすべきであるのか。

まず最初に、「ヴェリー・ダークブルー・フロックコート」と書いてあります。
うんと濃い色のブルーが最適であると。
今ならモーニング・コートでしょうが、十九世紀末のことですから、フロック・コートが正式だったと、思われます。

これに明るい色のトラウザーズを合わせると、出ています。
まあ、このあたりは理解できるのですが。

靴は、「パテント・ブーツ」となっています。
当時は、フロック・コートにエナメルのブーツを合わせたわけですね。

まあ、そんなふうに、様々の説明があって、最後にひと言。
「ニュウ・ハット」と書いているのです。

フロック・コートとくれば、シルク・ハットで。
新郎は結婚式に、新しいシルク・ハットが必要だったらしい。

今の私たちも、何かの折には、「ニュウ・ハット!」とまいりたいものです。