ビーヴァー・ハットの伝説 #178

ビーヴァー・ハットは、ビーヴァーの毛皮で仕立てた紳士帽のことです。

ビーヴァーbeaverは、「海狸」とも呼ばれる動物のことです。
このビーヴァーの毛皮が、貴重品だったのです。
丈夫で、美しい光沢があり、雨にも強かったので。

十八世紀以前の紳士帽の多くは、ビーヴァー・ハットだったのです。
では、ビーヴァーは、どこで獲れたのか。アメリカで。

アメリカのネイティヴ・アメリカンの居住地で。
ここに白人が入り、物々交換で、ビーヴァーを捕獲させてもらったのであります。

アメリカは自国でもビーヴァーを使い、また輸出もしたのです。
つまりイギリスは、アメリカからビーヴァーを輸入して、加工し、帽子に仕上げた。

アメリカはビーヴァーの輸出で、そうとうの利益をあげた。
これがイギリスにとっては、面白くなかった。
それで、「ビーヴァー輸出禁止令」を。
1732年のことです。いわゆる「ハット・アクト」。

でも法律を出したほうのイギリスでも、ビーヴァーが使えなくて困った。
そこで、ビーヴァーの代わりに、シルク・プラッシュを用いるようになったのでしょう。

物事はそれほど単純ではなかったかも知れませんが。
1732年に「ハット・アクト」が出されているのは、間違いありません。