ちひろベレーの物語 #253

ここでの「ちひろ」は、もちろん、いわさき ちひろのことです。

いわさき ちひろは、絵本作家。
その温かい、ほのぼのとした水彩画はみんなの心を温める力を持っています。

いわさき ちひろは、大正七年十二月十五日に、福井の武生に生まれています。
大正七年は、偶然にも『赤い鳥』が創刊された年でもあったのです。
後に童話作家ともなるいわさき ちひろを予感させることでもあったでしょう。

いわさき ちひろの本名は、岩崎知弘でありましたが。

昭和八年、岩崎知弘は本格的に、油絵の勉強をはじめています。
岩崎知弘、十四歳の時に。
当時、有名だった岡田三郎助の弟子となって。

いわさき ちひろは、画家であり、妻であり、母であり、
そのすべてに力を注いだことでも評価されるべきでしょう。

戦後間もなく、銀座に「ルネ」という洋裁店があって、
ちひろはここで服を仕立ててもらうこともあったらしい。

また、自分で服を直したり、作ったもしたようです。

たとえば。
千鳥格子の外套に自分で毛皮のふちどりをして、愛用した。
これは、写真が遺っていますから、間違いないでしょう。

そして、ちひろはこのコートにはお揃いの毛皮のベレーをかぶったのです。
毛皮のベレーはさぞかし温かいことであったでしょう。

これからは毛皮のベレーは、「ちひろベレー」と呼ぶことにしませんか。