カートホイール・ハットの物語 #258

昔たくさんあって、今少ないものに、カートホイール・ハットがあります。

cart wheel hatは、むろん「車輪」のことです。
十九世紀以前の荷車などの車輪のことであります。
つまり、車輪ほども大きな帽子なので、「カートホイール・ハット」なのです。

クラウンは中庸の大きさなのですが、ブリムがうんと広い。
つまりは、カートホイール・ハットであります。
これまでにも、何度かカートホイール・ハットも流行期がありました。

十九世紀末に流行ったことがあります。
1920年代に流行ったことがあります。
1950年代に流行ったことがあります。
が、それ以降には、カートホイール・ハットの流行はありません。

カートホイール・ハットは当然のことながら、女の顔に深い影をつくってくれます。
ごく手短かに申して、女の顔をより神秘的に見せてくれます。

しかし、その一方で、かぶりこなしの難しいのも、カートホイール・ハットであります。
たとえば付き人のひとりでもいるような貴婦人の気持にならなくてはなりません。

難しいけれど、美しい。
そこで、淑女は悩むわけですね。
しかし、1950年代から絶えて見ないことは、まことに残念でもあります。
ぜひ、再流行を期待したいものであります。