ミリエ・キャップの伝説 #271

「ミリエ・キャップ」は、今のところ「帽子用語辞典」には収録されてはいません。
でも、やがては「ミリエ・キャップ」の項目もたてられることでしょう。

1888年にゴッホが描いた絵に、『ミリエ少尉の肖像』があります。
この絵の中で、ミリエ少尉がかぶっている帽子のことなのです。

この頃、ゴッホはアルジェリアで、偶然、ミリエ少尉と知り合いになっています。
ゴッホがミリエ少尉に絵を教える代わりに、ミリエ少尉にモデルになってもらい条件で。

ミリエ少尉はズワーヴ兵だったので、
そのアラビア風の服装が面白いと、ゴッホは思ったのでしょう。

ズワーヴ Zouave は、アルジェリアの義勇兵のこと。
ボレロ風の独特の制服を着ることになっています。
「ズワーヴ・ジャケット」は、ファッション用語のひとつにもなっているほどなのです。

さて、その帽子なのですが、色も形もトルコ帽によく似ています。
ただ、ズワーヴ兵は、というよりもミリエは大きく崩して、
柔らかくかぶりこなしているのです。

もともとは赤い、円筒形の帽子だったのでしょうが、
ミリエはソフトに、落ちそうなくらいに傾けています。
だからこその、「ミリエ・キャップ」なのです。

ゴッホが描くところの『ミリエ少尉の肖像』を参考に、
ぜひ「ミリエ・キャップ」を流行らせたいものであります。