川端帽子の伝説 #254

むかし、菅 忠雄という小説家がいたんだそうです。
菅 忠雄は、川端康成とほぼ同世代の作家。
というよりも川端康成と菅 忠雄は親友でもあったという。

話は大正十四年のこと。
菅 忠雄の自宅はその頃、市ヶ谷左内町にあって。
ここに居候していたのが、まだ少女だった秀子。
後の、川端康成の奥様。

大正十四年の五月。
川端康成がふらりと、菅 忠雄の家に遊びに来て、
出会ったのが、未来の妻との出会いだったのです。

「中折帽みたいな帽子ですが、真ん中を丸く凹ませてある妙に帽子でした………………」。

川端秀子著『川端康成とともに』に、そのように出ています。
最近に、川端康成を見た時の印象を。
やはり、帽子の印象は濃厚なんでしょう。

私の勝手な想像ですが。
大正十四年五月。
川端康成がかぶっていたのは、ホンブルグ・ハットではなかったでしょうか。

これからは時に、「川端帽子」と呼んでみたい気持があります。
ことにそれは、グレイのホンブルグだったようですが。