シリンドリカル・ハットの物語 #285

1960年に、パリのオートクチュール・デザイナー、ピエール・カルダンは、
オムに進出しています。

ここでの「オム」はもちろん「紳士服」のことです。
ピエール・カルダンはそれまでは「女性専科」だったからですね。

1960年以降は女性者だけでなく、紳士物を手がけるようになったわけであります。

もっとも若い頃のカルダンは母国イタリアで、
紳士服のテイラーの修業をした時代もあったそうですが。

1960年のカルダンの紳士服は画期的でありました。
当時のフランスのスーツは主に丸い、上着丈の短いものだった。
が、一変して、細くて、長いシルエットを発表。

「リーニュ・フルーレ」と呼ばれたものです。
「フルーレ」はフェンシングの剣のこと。
フェンシングの剣のように、長いて細いライン、という意味だったのです。

このリーニュ・フルーレに合わせて帽子が、
「シリンドリカル・ハット」cylindrical hatでありました。
それはちょうど、フェルトで仕上げたトップ・ハットに似た帽子だったのです。
つまりは、細くて長い帽子でありました。

今一度、シリンドリカル・ハットが復活しないものでしょうか。