プロムナード・キャップの伝説 #292

愛読書のひとつに、『パイプのけむり』があります。
『パイプのけむり』は、團伊玖磨の随筆集。

もともとは『アサヒグラフ』に連載された名物読物。
とにかく團伊玖磨の『パイプのけむり』を読みたいがために
『アサヒグラフ』を購読する愛読者がいたほどです。
今は、単行本になって出ていますから、いつでも『パイプのけむり』を読むことができます。

團伊玖磨はいうまでもなく、作曲家。
作曲家の一方で、名随筆を書いたのです。
では、どこが名随筆なのか。
「團伊玖磨流」だったから。
オリジナルだったから。
世間一般の「常識」ではなかったから。

これもまた時代の流れで、今は「反常識」は少ないですね。
たいていは「世間の常識」に遠慮した随筆が多くなっています。
昭和の時代に「反常識」の随筆を書いたのは、
團伊玖磨と、山本夏彦のお二人くらいでしょう。

まあ、そんなわけで私の枕元には、いつも團伊玖磨製の『パイプのけむり』があります。
その中のひとつに、『裏目』と題する随筆があるのですね。

「鼠色のプロムナード・ハットとか言うハンティング紛いの怪しげな帽子………………」

そんな文章があります。
これは團伊玖磨のかつての教え子の、今は立派な音楽家の様子なのです。

さて、「プロムナード・ハット」とは。
これはどうも、小型のキャップを指しているらしい。
頭にぴったりとかぶる、鍔の短い帽子のこと。

むしろ「プロムナード・キャップ」と呼ぶべきでしょう。
これもぜひ、再現してみたいものですね。