『帽子のオアオア物語』Vol.19 ソンブレロの話
ソンブレロには、メキシコの民族帽という印象があります。
私のソンブレロ体験は、1950年代の音楽に遡るのです。それは、「トリオ・ロス・パンチョス」メキシコの三人組の歌手。当時は、「トリオ・ロス・パンチョス」を名乗っていましたが。
トリオ・ロス・パンチョスは、上から下までメキシコの民族衣裳で、当然ながら、頭には「ソンブレロ」をかぶっていたのであります。
ところが大人になってから分かったことは、「ソンブレロ」sombreroは、単に「帽子」だという。それは「ソンブラ」sombra からきていて、「影を作るもの」の意味。直訳すれば「影を作る帽子」ということなのでしょうか。
たとえば、「ソンブレロ・フレキシビレ」は、「ソフト・ハット」の意味になります。「フレキシブルな帽子」だから、「ソフト帽」というわけなんでしょう。
ソンブレロが出てくるミステリに、『優雅な町の犯罪』があります。1994年に、キャロル・G・ハートが発表した物語。
「………黄色の丸いレイン・ハット、銀の縁取りがついた山高の黒いソンブレロ………」。
「山高の黒いソンブレロ」。惹かれてしまいます。「銀の縁取り」。ますますもって。
シルヴァーのトリミングのあるソンブレロ、ぜひかぶってみたいものです。