『帽子のオアオア物語』Vol.6 みんなで制帽を
明治十六年『東京繪入新聞』十月二十三日に、「ナポレオン帽」の話が出ています。
明治十六年は、西暦の1883年で、今からざっと150年ほど前のことになるのですが。
明治十六年頃には、警察官のことを「巡査」と呼んだんだそうですね。この「巡査」の制帽を新しく変えようという記事が出ています。その新しい制帽は、「ナポレオン型」だと。ナポレオン帽は分かりますよね。あのナポレオン・ボナパルトがかぶっている帽子。
帽子用語では、「ビコルヌ」と言います。あるいは、「バイコーン」。つまり「角がふたつある帽子」という意味なんですね。
日本語では、「大礼帽」と呼ばれた時代もあります。大礼服の上にかぶった帽子なので。
「ナポレオン帽」はさておき、制帽は美しいものです。その点では、ブレイザーにも似ているでしょう。やはり「お揃い」は美しいものであります。
恋人同士が同じ帽子をかぶっていても、いちばんちいさな「お揃い」ではないでしょうか。
夫婦がいて、子どもが二人。みんな同じキャスケットをかぶっていたら、注目の的でしょう。
帽子はひとりでかぶると決めつけないで、「お揃い帽」の気持を持とうではありませんか。