『帽子のオアオア物語』Vol.12 フェザーの話
フェザーもまた、帽子の大切なアクセサリーであります。
私なども、きれいな羽根を見つけると、お似合いの帽子に挿したりするものです。
それはちょうどスーツの襟穴に花を飾るのに似て、一変します。驚くばかりに。
帽子のフェザーも、見慣れた帽子の表情を、たちまちに変えてしまうものがあります。
少し古い話ですが、壇 一雄が、昭和二十八年に、『降ってきたドン・キホーテ』という愉快な小説を書いています。
物語の主人公が、ドン・キホーテと、サンチョ・パンサを迎えに行く話なのです。
彼らに、洋服を着せるために、準備を。古着屋に。主人公は、チロリアン・ハットを買う。そして、店主に言う。
「何かこう、女帽子の羽根飾りのような奴をピーんとつけてサービスしてくれないか。」
時代も、状況もすべて違ってはいるのですが。
帽子を上手にかぶる点については、核心を衝いていると思います。
やはり壇 ふみのお父さんだけのことはありますね。