『帽子のオアオア物語』 Vol.3 ベレーの神話
ベレーがバスク地方と深く結びついているのは、ご存じの通りでしょう。
よく「バスク・ベレー」とも呼ばれるように、バスク地方に生まれた民族帽だと考えられています。一方、ブルターニュ地方に関係しているのが、「ブレトン・ベレー」です。
ブレトン・ベレーはやや大ぶりで、バスク・ベレーはやや小型のベレーであります。
1660年にバスクを旅したお方に、マダム・モンパンシェがいます。マダム・モンパンシェは、ルイ十四世の従姉妹であらせられたお方。
「この土地はプロヴァンスよりも、ずっと美しいように、わたくしには思えます。山羊や雌牛をみかけたりすると嬉しくなってしまいます。」
そんなふうに書いています。また、人びとは、すべてバスク語であったとも、伝えています。フランスに近いけれど、フランスとは別の文化を持っていたことが、窺えるでしょう。
それよりも前の、1644年に、ガスコーニュ地方を訪れた人物に、レオン・ゴドフロワがいます。ガスコーニュは、スペインに近いフランス。つまりバスクにも隣接した地域。
「男たちはベレーと呼ばれる大きな椀帽で頭を被う。」
と述べています。少なくとも1644年には「ベレー」があったと、理解できるでしょう。また、バスクの風俗が、ガスコーニュ地方にも及んでいたことも。
どうやら、ベレーの歴史は長いようですね。